タイトルは、仏女流作家フランソワーズ サガンの作品のひとつ。
若くて優しい男性(シモン)と、中年女性ポールの恋物語。そのシモンがポールにさりげなく渡したメモに「ブラームスはお好き」と書いて演奏会に誘った。その作品が映画化された40年前、まだ学生であった私は、さりげなくメモを渡す相手もなく、1人寂しく東京渋谷の映画館にいった記憶がある。映画の内容はともかく、挿入された交響曲第三番、三楽章がブラームスとの最初の出会いとなった。
ブラームスの作品は、全体的に重厚なイメージが強いが、その中に何か、もの悲しくも切ないメロディが時折顔を出してくる。その対比がブラームスの魅力に一つではないだろうか。
彼の一生をみると、その魅力の謎が隠されているような気がする。師事していた、シューマンの妻「クララ」に想いをよせてしまったのだ。そのシューマンが心の病にかかり、ライン川に身を投じてしまい、クララは独り身になってしまう。「好機到来」と普通の人なら猛然と彼女にアタックするはずであるが、そこは大作曲家。終生、師であるシューマンに忠誠を誓い、クララとは一緒にならず、独身を貫き通しただけではなく、彼女を物心両面で支え続けたとか。
ブラームスの悶々とした心の葛藤が曲想に表れているといった解釈は、あまりにも三面記事的な表現になるだろうか。
彼は、楽器の使い分けの天才である。
例えば、前述の三楽章の冒頭は、少し暗い響きのビオラが主題を奏で、バイオリンに引き継ぐ。心の揺れを二つの楽器で表しているように聞こえる。
その後展開部に移り、明るいフルートの音に、気持ちが落ち着いた方向を
目指しているように思えるのだが、展開部をはさんで 深い闇にホルンが引き込むように奏でる。それを、オーボエが引き継ぎ一筋の光を見出すような予感を感じさせる。展開部後フルオーケストラで力強く歌い上げ、未来につなぐ。各楽器の特性を生かした、すばらしい作品ではないだろうか。
ブラームスの第三番、と四番のCDは何枚か持っているが、どれもしっくりこなかった。
特に最近買ったロイヤルフィルのCDは、全体的に第一バイオリンが張り切りすぎて、特に高音の音が外れ、安らげない。(ロイヤルフィルの名誉のために書き添えておくと、そのCDは特価で録音も古いものでした)
と、ブラームス同様悶々としていたら(次元が違うけど)、でました。
サイモン・ラトル指揮、ベルリンフィルのブラームス交響曲全集。
楽員1人1人がソロアーチストとして活躍できるほどの力量、故にアンサンブルはものの見事。これで安心して聞き入ることができるはずですが、あまり心地よくて最終楽章まで眠りを誘わずにおれるかどうかの保証はできませんが、おすすめのCDです。